返シテクダサイ《都市伝説》
はじまり



「肝試しに行こうぜ!」



そう言い出したのは茶色い髪をワックスで散らした少しチャラい風貌の羽山裕也(ハヤマユウヤ)。


俺、緑川信二(ミドリカワシンジ)はその時期外れも甚だしい発言に「はぁ?」と馬鹿にしたような声を上げて返答を返した。


しかし、その羽山の誘いに珍しくも乗り気な声で賛成意見を述べたのは中性的な顔立ちの、どちらかと言えば女っぽい中井晴彦(ナカイハルヒコ)だった。



「何それ、面白そう!やろう!」



「おい晴彦マジかよ、時期外れもいいトコだぞ」



「肝試しは寒けりゃ寒いほどいいんだよ」



羽山の言葉に違うだろ、と軽く突っ込みを入れながら、俺は投げやりに問いかけた。



「で、肝試しったってどこ行くんだよ?無意味に墓参りなんて厭だぞ」



「肝試しを装って夜中の墓場で墓掃除かぁ…微妙」



晴彦はそう返しながらも肝試し案が着々と進行している様子を楽しそうに、羽山の返事を期待満面の表情で見つめていた。


その視線を受けた羽山は、得意満面に言い切った。



「行くのは…隣町のT病院!」
















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