ビッチは夜を蹴り飛ばす。
01.大人は何が正解か不正解か教えてくれないよね




 SNSでハッシュタグ裏垢女子とかいう謎の名目のヤリモク集会に何故かあたしの写真が紛れ込んで、それを運悪く学校の人間に見られてしまったことでいわれのない濡れ衣を着せられた結果あたしの地位(カースト)は瞬く間にビッチ女子へと陥落した。

 それまではそこそこ上手くやってた。ちょっと暗いところもさ、まぁ騙し騙し引かれないように冗談めかして擬態してたってわけですよ。それがぜーんぶぜんぶみずのあわ。

 今だってそう。




「鳴お前ってヤリ放題なんだって? タダでご奉仕してくれんの? 昨日彼女にフラれてさーなんでもいいや慰めてよ」



 するり腰に回って来た謎の気配。それが同級生の手って理解するはいとも容易く。
 そしてあたしがその噂に翻弄されるかとおもいきや順応するのもまた容易く。

 肌白、って欲情した目が頰を舐めたのを皮切りに口内を蹂躙されていく。



 これでもかこれでもかと人間の舌があたしの中を弄って、息継ぎの合間に唇を離したら心にもない声に男は盛り上がったみたいだった。


「やべーよ鳴最高、可愛いやらして」


 屋上の扉横の仄暗いスペースで男があたしの肩に顔を埋めながらチャリ、ってベルトを外す音がして、それがなんだかろくでもなくて隣にあった鉄みたいなパイプで同級生を殴り飛ばした。






< 1 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop