ビッチは夜を蹴り飛ばす。
Day.8
いっつもやりたい放題するけど男の人と女の人のあれこれは女の人の方が負担大きいんだからいつだって女は優遇されるべきよ、と海外ドラマのヒロインが言っていた。
それを見たあとめちゃくちゃ硯くんガン見してたんだけど歯ブラシしながらクイックルワイパーしてて全然聞いてなかったし、まぁ確かにドラマの時に掃除機かけないでよね! って怒ったのを守ってくれてるのは聞き分けのいいお兄さんとして良しとする。
「…めい」
「…」
「めい」
「んー」
背中から声がしてこしこし、と目を擦る。かろうじて振り向いたらたぶん後からやってきて同じくベッドに横たえていた硯くんと目があった。
たぶん深夜2時くらいだ。最近ちゃんと夜更かししないで寝てるんだ。硯くんも見習いたまえよ、って目をそらして、天井を見て、硯くんを見る。
「なに」
「したい」
「…」
「ねむたい」
「うん」
「おやすみ」
「だから勝手にするわ」
「んぅー?」
なにぃ、とほぼゆめのなかで応えたら後ろから優しくハグされた。ふふーん硯くんあたしのこと大好きかよ、ってちょっといやだいぶ嬉しい感覚にほくほくして目を閉じたらもそもそと服の中に何かの感覚があって、でも眠たいからそのままくぅ、と眠りにつく。
けどそうはさせてくれなかった。眠ってるけど、どこかで物凄い快楽が押し寄せてきてて、気づいちゃだめ気にするなって思うのに思えば思うほどそっちに意識が持ってかれる。
もう実は目が冴えていた。服の中に潜り込んだ手が胸を、下の手が濡れて変な音を立てたとき熱い吐息が漏れてしまう。