君からの贈り物
――俺、イタリア行くから

無愛想な態度で告げられた、幼なじみであり彼氏の言葉を、私は未だに忘れたことがない。

喧嘩したあの日から、彼は私に笑ってくれなくなった。

「……はぁ」

1つため息を付いて、私は何か届いていないか郵便受けを確認する。中には、白い封筒が一通だけ入っていた。

「……え……」

差出人は、幼なじみの優希(ゆうき)からだった。……あいつから手紙を出してくるなんて、珍しい……。

私は、その場で封筒を開ける。


ごめん。本当は、イタリアに行く前にきちんと謝りたかった。

でも、怖くて謝れなかった。嫌われたんじゃないかと思うって……。

それから、お前の前では笑うことが出来なくなったんだ。

俺が、お前のことを傷つけてしまった。本当に、ごめんなさい。


「……っ」

ポタリと、涙が手紙に落ちた。

違う……違う……何で、あんたが謝るの?私が悪いのに……謝らなきゃいけないのは、私なのに……。彼に、きつく当たってしまったから……。

私は、その場で泣き崩れることしか出来なかった。



あれから気分が落ち込むようになって、気分転換に海外へ旅行に行くことになった。

行先は、イタリア。私は、イタリア語、英語が喋れるから問題は無い。
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