心の鍵はここにある

 そう、昨日のメールは、祖父の入院を告げるものともう一つ……。
 それを見てから、正直気が滅入る。
 私の様子で、祖父が気掛かりなのだと思った春奈ちゃん。
 確かに祖父の事は心配だけど……。
 もう一つの内容の方が気になって、思い出したら気が重くなる。

「ご実家、高松でしたよね?どなたか病院に付き添われてるんですか?」

「うん、おばあちゃんが付き添いだと思う。
 両親は高松なんだけど、父は一人じゃ何も出来ない人だから、多分休みの日に松山へ通ってるんだと思う」

「じゃあ、帰省するなら松山へ?」

「うん、高松経由だと、時間がもったいないからね。
 最短なら、羽田発の飛行機だけど、この時期高いからなぁ……」

「松山はLCC乗り入れてないんですか?」

「羽田発のはなかったなぁ。成田ならあるんだけど……。
 成田は安上がりかもだけど、飛行機飛ばなかった時、便数少ないから帰れなくなるリスクがあるし。
 それなら羽田発着で宿付きのパックの方が便も沢山あるし最悪他社便にも振り替えてくれるから安心かな」

「あの旅行パックって、予約いつまでなんですか?」

「えっとね、予約は一週間前までなんだけどね。
 予約完了したら変更が効かないのと、出発十日前からキャンセル料発生するとかで、時間が確定してないとリスクもあるよ」

 そうなのだ。
 以前、年末に帰省しようと早目に旅行代理店にチケットの手配をお願いしようと足を運んだ時に、カウンターに座るお姉さんに教わった。

 普通に航空券を手配するよりもパックの方が、便の変更は効かないけれど断然安上がりだ。
 それに繁忙期なので、通常より少し割高だけど、一泊の宿泊付きで、時期にもよるけど下手したら片道航空券の正規料金より安い。

 長距離の移動で疲れるだろうし、大手航空会社のパックツアーなので、欠航等リスクも低い。
 仮に欠航しても、振り替えの選択肢が多いので、私は帰省する時はいつもこのパックツアーを使っている。
 新幹線の場合、岡山での乗り換えが面倒だと言うのもあるけど、やはり短時間での移動が魅力的だ。
 帰省する日を決めて、実家に連絡をしなきゃな。

「へぇ、予約のリミットは一週間前なんだ……。覚えておこう。
 今はきっと予約取れないだろうから、時期ずらして旅行に行く予定なんです」

 きっと旅行の相手は藤岡主任だろうか。

「あ、拓馬くんとではないですよ。妹が大学で地方にいるんですよ。
 せっかくだから、妹が学生の間に遊びに行こうと思って。
 妹はスカイメイトとか夜行バスで帰省するから格安ですけど、私みたく社会人になったら使えないし。
 少しでも安く、楽な方法で行きたいから参考になりました。ありがとうございます」
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