極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「私、大学を奨学金で通っていたので、その返済があるんです。それと、祖母の足が悪いので治療代を毎月送っているのと、家もリフォームしてあげたくてお金を貯めているので。そのお金を引くと、毎月それほど手元に残らないんです」

「やはりお金に困って……」

「いえ、大丈夫です。ご覧の通りの質素な暮らしではありますが、お金に困ってはいません。節約さえすれば不自由なく暮らせていけるので」


深刻に聞こえないよう、なるべく明るい声で告げる。

そんな私を千紘社長は硬い表情でしばらく見つめていたけれど、「大丈夫ですよ」ともう一度告げると、納得したのか表情が少し和らいだ。


「そうか。そういう事情があったのか。おばあさんのために給料のほとんどを使っているなんて、笹崎さんはおばあちゃん子なんだね」

「いえ」


千紘社長の言葉に私は小さく首を振った。
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