極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました

あれは十歳の頃。

祖父母に連れられて親戚の人たちの集まりに参加をしたとき。

食事が済んだお皿を台所へ運んでいくと、そこで洗い物をしていた女性たちの会話をこっそりと聞いてしまった。


『景(けい)ちゃんは本当にかわいそうな子だったわよね。不倫の末に既婚者との間に子供ができたんだから。周囲にあんなに反対されたのに一人で桃ちゃんを生んで』

『そうよね。そのせいで、あの若さで亡くなっちゃったんだもの。本当にかわいそう』

『あの年齢でまだ小さな桃ちゃんを育てることになった登美子(とみこ)さんと敏男(としお)さんも大変よ。登美子さんは足が悪いし、敏男さんも癌が見つかったらしいじゃない』

『本当にそうよね。景ちゃんに、うっかり子供さえできていなければねぇ……』