極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
振り向くと、なぜか千紘社長がこちらに向かって歩いてきて、私のすぐ目の前でピタッと足を止める。

その距離がとても近くて、思わず一歩後ずさり、背中が扉に当たってしまった。

すると、千紘社長が高い背を屈めて、私の顔を覗き込んでくる。


ど、どうしたんだろう。


突然、こんなに至近距離で見つめられて、恥ずかしくなった私はつい視線を足元に落としてしまった。


「うん。顔色は大丈夫そうだ」


その声に視線を上げると、千紘社長がふっと優しく微笑んでいる。


「あれから体調はどう?」

「体調ですか……?」


一瞬、何を尋ねられているのかわからなかった。でも、すぐに私が貧血を起こして倒れたときのことだと気が付く。


「体調は問題ありません。先日は、ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした」

「いいよ、気にしなくても。それよりも、あまり無理はしないようにね。体調がよくなかったら遠慮なく俺に言って」
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