極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
貰ったばかりのエコー写真を握る私の手は震えていたし、きっと思い詰めたような表情をしていたのだろう。

女医さんは、私の肩にそっと手を置いて、優しく微笑んでくれた。『お大事に』と言われて、私は診察室を後にした。

それからどうやって会社へ向かったのかは覚えていない。

ただ、足だけが動いて、気が付くと秘書室の自分のデスクに座っていた。

午後の仕事が始まり、出社したことを千紘さんへ報告に行かなければならない。それなのに、身体が動いてくれない。

すると、秘書室の扉が開いて天野室長が入ってくる。


「あっ、笹崎」


私の姿を見つけて声を掛けてきた彼に、私はイスから立ち上がると軽く頭を下げた。
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