極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました

そんな天野室長は昼過ぎからずっと常務と執務室にこもっていたが、どうやら戻ってきたようだ。

ということは、彼がここしばらく頭を悩ませていた案件が解決したのかもしれない。


「室長。常務の新しい秘書の方は決まりそうですか？」

「ああ、ようやくな」


私の問いかけに、天野室長は心の底からホッとしたような深い息をこぼした。その様子に、思わず同情してしまう。

常務秘書をしていた女性社員が、しばらく休職することが決まったのは先月の四月半ばの頃だった。

理由は妊娠。初期の頃からたびたび出血があり仕事を休んだり早退したりを繰り返していたものの、今回、切迫早産と診断され、大事をとって休職することになった。

復帰できたとしても、秘書の仕事は担当役員のスケジュールに振り回されることも多く、なかなかのハードワークだし、気苦労や負担も大きい。

そのため、彼女の希望もあり、秘書室から別の部署へ異動になる予定だ。