極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
申し訳ないけれど、天野室長のおっしゃる通り、名前だけではどんな方なのかわからない。

でも、彼女の所属が都市開発事業部と聞いて納得した。常務の担当している業務のひとつが、その分野だから。きっとある程度専門的な知識のある優秀な社員を秘書につけたかったのだろう。


「これでようやく肩の荷が下りた。栗本さんには、都市開発事業部の部長からそれとなく異動の話をしてもらったけど、なかなか反応がよかったらしい。これでもうほぼ彼女に決定だな」


天野室長は「よかった、よかった」と呟きながら、自席へと移動してイスに深く腰を下ろした。


「うちの役員は仕事はできるが個性があり過ぎて大変だよな。頭が固かったり、気難しかったり、変なこだわりがあったり。秘書を決めるのも一苦労だ」


そうぼやきながら、天野室長の指がパソコンのキーボードを打つ。

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