誘拐は激甘生活の始まりIII
「王位を放棄すると言っておいて何のつもり?」

聞いたことのないダミアンの怒ったような声に、びくりと杏菜の肩が震える。しかし、リオンは顔色を変えることなくダミアンを睨み付けていた。

「兄さんこそ、日本人の女の子を誘拐してるくせに?その子に甘い蜜を吸わせて鳥籠の中に閉じ込めておくんでしょ?」

こんな籠の中じゃかわいそうだよ、そうリオンは言って杏菜の髪に触れる。そしてその髪に優しく口付けた。

「えっ!?」

突然キスをされ、杏菜は驚く。その刹那、杏菜を抱き締める力が強くなった。そして杏菜の顎が持ち上げられる。

「杏菜は渡さない」

そうダミアンが言った刹那、杏菜の唇はダミアンによって塞がれた。







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