秘密事項:同僚と勢いで結婚した
2日目は近所の子供との触れ合い(最終的には穂高くんも子供たちの相手をしてくれた)と、家でやってる畑の手伝い、そして墓参りをした。
あっという間に日は暮れて、只今の時刻は夜の21時。
居間で寛いでいると、穂高くんと2人きりになった。
テレビをぼんやり並んで眺めていると、スポーツニュースに差し掛かる。
海外で活躍する選手の成績、日本代表選手の試合結果。
穂高くんはスポーツが好きだ。
食い入るように画面を直視し、その横顔が真剣そのもので無意識のうちに見惚れてしまう。
それから数分後、スポーツニュースが終わると、穂高くんは私の顔を覗き込んで『何か見たいのある?』と訊いてきた。
家族全員夜更かしが苦手で、21時には自分の部屋で就寝している。
だから居間のテレビは穂高くんと私が2人きりで占領できるわけだが…。
「特に見たいものないかな。」
思い付かず、私はリモコンを穂高くんに委ねた。
「もう寝る?」
「……どうしよう」
なんだかこの会話も気恥ずかしい。
だって眠ければ相手なんて気にせずに自分のタイミングで布団に入れば良いから…。
「穂高くんは明日、長時間、運転しなきゃだし早めに寝た方が良いかもね」
「千智、だろ?」
「……もうみんな寝てるから…」
「居間にいる時は『おしどり夫婦』演じなきゃ」
「………『千智』ってキッチリしてるからすぐに白髪になっちゃいそう」
「余計なお世話だよ」
わざとらしく名前を呼ぶと、嬉しそうに笑うから調子が狂った。