秘密事項:同僚と勢いで結婚した


「ふぅ…ん…」


穂高くんは上唇と下唇の境目を舌でなぞる。されるがままに口を開けると、くちゅくちゅと水音を立てて絡めた。


気分がいい。


好きな人の唾液は麻薬みたいで、味わえば高揚してしまう。どちらのものかわからない唾液をごくりと飲み込むとはしたないほどに興奮度は上昇していった。


「……葉山…脱がすよ」


穂高くんはデコルテに口付けを繰り返しながらネグリジェを脱がし、ランジェリーの肩紐をゆっくりと下ろす。恥ずかしくて顔を横に逸らせば、こっちを向けと言わんばかりに頬にキスされた。


「……肌…綺麗だよね。……この下着、似合ってる」


一つ一つの感想が耐えられないほどにドクンドクンと胸の内を騒がせる。


「穂高くんも脱いで…」


私ばっかり露出して悔しかった。彼が寝巻きとして愛用している黒いTシャツに触れ、まくりあげると、一切抵抗せずに上半身を顕(あらわ)にさせた。

程よく引き締まった身体が目に映る。それに対して慌てているのは私だけで、彼は何も気にしていないような表情だ。
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