先生がいてくれるなら①【完】

翌日の朝。

私は朝の部室掃除を終えて教室に向かうために部室を出たところだった。



「おはよう」



部室の隣の数学準備室の扉にもたれかかるようにして腕を組んだ先生が立っていた。



「──おはようございます」


私は小さく頭を下げて、先生の前を通り過ぎようとした。



「ちょっと待って。話があるから入って」



先生は私の返事を聞くこと無く、準備室に入っていく。



この人は相変わらず……私が断らないと思ってるのかな。


先生に気づかれないように小さくため息をつき、私は準備室に入って扉を閉めた。



「……話って、何ですか?」

「まあ、座って」


促されて、私はしぶしぶ椅子に腰を下ろした。



「今日は部活だから、病院は行かないよな?」

「……はい、部活の日は遅くなるので。あと……毎日行くのも兄に負担になるので、今日は行きません」


「じゃあ、明日は行くのか」

「……そうですね」


「病院からの帰りは、いつもあの時間?」

「……だいたいは」


素っ気ない私の言葉を聞いて、先生は大きなため息をついた。


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