先生がいてくれるなら①【完】
* * * * *

真っ赤になって様子がおかしい私を先生は相変わらずケラケラと笑う。


昼食をとり(私は何を食べたか全く記憶に無い)私は先生に手を引かれ──じゃなくて腰に手を回されて、どうやら一番の目的だったらしいショッピングセンター1階に入っている家電量販店に来ていた。



お店に入ると先生はやっと腰から手を離し、今度は私の手を握る。


私はまだ挙動不審なままだけど先生はそれを無視して、目的のコーナーへ向かった。


「電子レンジが壊れたから、買おうと思って」

「んぬあぁ、なるほど……」


まだ完全に正気に戻れなくて変な声が出たことは、この際気にしないで欲しい。


「お前んちは、どんなの使ってんの?」

「えっ、えっと、うちはこれの旧モデルですね」


と商品を指さす。


「使いやすい?……つっても基本、コンビニ飯あっためるぐらいだけど」

「あー、だったら一つ下のランクのモデルでも良いかもですね」

「いや、料理もするかも知んないし」

「まぁ、私は慣れてるからって言うのもありますけど、使いやすいと思いますよ」

「じゃ、コレに決めた」


最初に指さした、我が家の機種の最新モデルを買うことにしたらしい。


先生は店員に購入意思を伝え、会計を始めた。


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