先生がいてくれるなら①【完】

昼休みに教材を取りに行った直後の、5限の数学の授業──あまりにも気まずい。


いや、別に、先生がどう思ったかとかはどうでも良いんだけど──

いや、ホントは良くないかな。


悠斗とは何も無いのに、何かあると思われるのはなんとなく……やっぱり抵抗がある。



何食わぬ顔で授業を始めた藤野先生は、いつもと変わらないように見える。


無表情は全く崩れていない。


と言っても、眼鏡と長めの前髪でどんな表情なのかはよく分からないのだけど。


藤野先生の授業は、いつもとても静かで平穏な空気が流れる。


この雰囲気がなぜか集中力を上げてくれているような気がしている。

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