先生がいてくれるなら①【完】

恥ずかしそうに「くすぐったい」と言うので、最後にもう一度スルッと撫でてから、仕方がないから指を解いてやる。


ずっと繋いでいたいけど、嫌なら仕方ない。


手が離れかけた瞬間、それまで下を向いていた立花が俺を仰ぎ見て、少し泣きそうな表情になった。



そんな表情を見てしまったら……ごめん、やっぱり今は手を離してやれない。



離しかけた立花の指を手の平に閉じ込め、壊してしまわないように優しく握り込んだ。



こんなにも愛おしくて。


自分だけのものにしてしまいたくなる。


自分の立場を忘れてしまいそうになる。




だけど、今だけ……今だけでいいから、俺のものでいて。




狂おしいほど、お前を愛してる──




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