先生がいてくれるなら①【完】

恥ずかしそうにしていたけど、ちゃんと顔を上げて俺の顔を見る立花の目は、少しだけ潤んでいるように見えた。



立花の手を握り、「また学校で」と言うと立花は小さく頷いて同じように「はい、おやすみなさい」と答え、俺はやっと立花の手を離した。



立花は玄関の鍵を開け、扉を開ける前に一度こちらに振り返る。


俺が手を振ると、立花は少しはにかんで手を振り返した。


扉を開け玄関の中へ一歩入り、扉を閉める直前にもう一度振り返って、ペコリと頭を下げる。



俺はもう一度手を振って……

扉の向こうに消えたのを確認し、今日一日の幸せを静かに噛みしめた──




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