夏、スタート。
プロローグ
騒がしい街中。

(まぶ)しいほど明るい車のライト。

降りしきる雪の中、あたしは道路の(はし)で、ただ座り込んでいた。

横断歩道の信号は青になったのに、誰も道路を渡ろうとしない。

数人のざわつきが聞こえる。

遠くから救急車のサイレンが聞こえる。

段々近づいてくるその音に気づいていても、あたしは動けずにいた。

道路の真ん中に倒れている1人の学生。

頬を伝う一筋の涙。

「ーーなん、で...」

やっと開いた口から出たのは、その言葉だけだった。

ーーあの日。雪の降った日。あたしの世界の色たちは、君と共に姿を消しました。
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