Lunatic
Reborn
この学校のグラウンドには、二つの体育館倉庫が存在している。
一つは最近建てられたもので、もう一つはまったく使われていない。


「ねえねえ、あの噂、知ってる?」
「あの使われてない体育倉庫のこと?」
「うん。たしか、入ったら呪われて死ぬんだよね」
「あんなもの壊してしまえばいいのにね」


女子は怖がりながら、だけど楽しそうに噂を話している。
それは、その噂を信じていないからできることなのかもしれない。


しかし近くでその話を聞いていた男子たちもまた、噂を信じていなくて笑っていた。


昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴ると、生徒たちは次の授業の準備を始める。


「先生、このハードル壊れてます」


外で体育の準備をしていた千葉は、体育教師のもとに壊れたハードルを持っていく。


「予備は?」
「これが最後の一個ですよ」


今体育倉庫から出てきた野田が、手に持っているハードルを高く上げながら言う。


「そうか……じゃあ、あっちの体育倉庫からハードルを持ってきてくれるか」
「えー」


千葉は顔を顰める。


「なんだ、あの噂があるから嫌なのか」
「それは信じてませんよ。ただ、遠いじゃないですか」
「……いいから行ってこい」
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