俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

そう言って、まだ笑う。



「…術のひとつでも出して、僕を殺してごらん?大切な主を取り返してごらん?…その瞬間に、君はズタズタになるだろうけどね?」



なずなの苦しむ姿を見て、まだ小馬鹿に笑い続けるか。



(このっ…!)



もう、俺は腹が立って仕方がない。



やめろ。なずなを苦しめるな。

バカヤロー。何で俺が捕まってんだ。

ふざけんな。何でそんなに笑ってんだ。



こんなに腸煮えくり返ってるのに。

俺は手を伸ばすことすら、出来ない。

…す巻きになってる場合じゃねえんだよ!俺、何やってんの!



(…なずなっ!)



「…ふざけた、こと、してくれんなよ…?」



なずなは、そう呟き、手をガクガク震わせながらも起き上がろうとする。

…え?起きる?

だ、ダメだ!もしヤツの言う通りなら、ただでは済まない!

頼む、起きるな!

今のボロボロの状態でも見ていられないのに、これ以上…!

俺が捕まってしまったばかりに!



頼むから…起きないでくれ!





「…なずちゃあぁぁんっ!起きちゃだめー!」


< 254 / 528 >

この作品をシェア

pagetop