俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

曰く付きの病院にて

★★★








…なずなを抱き抱えていた時に、ふと気付いたことなんだけど。




着ていたドレスの色が黒、ということもあってわかりづらかったが。

近くで見るとわかったことは、最初にあの羽根が刺さっていた腹の部分が…血みどろになっていた。

ドレスはボロボロだし、それに、よく見ると露出されていた肌のあちこちには、今の戦いで負ったと思われる小さな傷があちこちにあって。

綺麗にセットしていた髪も、激しい戦いでボサボサに崩れていた。



…本当は。

偶然にもパーティー会場で鉢合わせたとき。

そのセットした髪も、ドレスを身につけた姿も。

言葉には出さなかったけども、凄く綺麗だと思ってたよ。

惚れ直してしまうぐらい。



でも、何故俺はあの時。

『綺麗だよ』の一言も言わずに、自分の想いばかり優先してしまったんだろう。




こんなことになるぐらいなら、言えばよかった。




後悔が…止まらない。








「…そろそろ寒くなってきたから、中に入ろうか?」

「…うん」



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