記憶シュレッダー
意識不明
1時間ほどしたころ、ようやく由香里の様子が普段通りになってきたのであたしたちはバスで病院へと向かっていた。


「お祖父ちゃんの容態はどうなの?」


蒔絵に聞かれてあたしは笑顔で頷く。


「大丈夫だよ。目が覚めて元気になってるはずだよ」


ここ最近お見舞いに行けていないけれど、担当医からの連絡もないので順調に回復しているはずだ。


脳の病気だから後遺症が残るかもしれないけれど、それでもお祖父ちゃんが元気でいてくれれば、それでよかった。


やがてバスは病院前で停車した。


病院を利用するお年寄りたちが先に降りていき、あたしたちは最後にバスを降りた。


そのまま祖父の病室へ向かい、ノックをする。


いつもは聞こえてきていたはずの返事が聞こえない。


寝ているのだろうか?
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