記憶シュレッダー
「なにを慌ててるの? 持ち帰ったものは、いつも同じ場所に置いておくじゃない」


不意に、あたしが言った。


同じ場所? それってどこだろう?


わからないはずなのに、あたしは真っすぐ書斎へ向かっていた。


散らかっている紙くずの上で足を滑らせそうになりながらも、周囲を見回す。


6畳の部屋で、奥には押入れの襖がある。


不意に、嫌な臭いが鼻腔を刺激した。


あたしは顔をしかめて押入れへと近づいて行く。


『ねぇ、なんかこの部屋臭くない?』


それは由香里が言った言葉だった。


『それにしても、この部屋なんか臭くない?』


それは伯母さんの言葉。


あたしはそれをゴミ箱の生ゴミのせいだと思った。


ちゃんと換気していないせいで、臭いが籠っているのだと思った。


でも違うんだ。


もっと、もっと、重要なものがこの部屋にはある……。
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