記憶シュレッダー
☆☆☆

この日、浩太はあたしに付き合ってずっと隣りにいてくれた。


気がつくと泣きつかれてソファで眠っていたのだけれど、起きた時に浩太はまだ隣りにいてくれた。


「き、昨日はごめんね! なんか、泊らせちゃって!」


あたしは浩太と二人分の朝食を準備しながら、焦って言った。


結局、浩太はあたしのために泊まってくれたのだ。


なにもなかったと言っても意識してしまって、真っすぐに浩太の顔をみることができない。


「別に。俺の親も敦子のこと気にしてたし、大丈夫だって」


「そ、そっか……」


浩太の両親も泊まることを許してくれたのだ。


嬉しい反面、とても恥ずかしい気持ちになった。


「それより、今日は昨日のテストが戻ってくる日だぞ」


朝食を食べ終えた浩太が急に現実的なことを言ってきた。


「あ……そうだっけ……」


判定試験と言っても、地元の中学生に向けた試験だから、結果が出るもの早いのだ。
< 48 / 213 >

この作品をシェア

pagetop