最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
「そうだ。元の関係に戻るきっかけとして、肩揉み券作ってあげようか」
「遠慮しとく」


さらにそんなことを言うので食い気味に返すと、「結構名案だと思ったのに」と麻那は口を尖らせた。

確かにそれくらいの軽いノリで接したほうがいいのかもしれない。けど、肩揉みをしてもらったあのときの高海の様子を思い返すと、複雑な心境だったんだろうなと思う。

今になってなんだか申し訳なく感じる私に、麻那はアドバイスをし続ける。


「とりあえず、高海くんの諦めがつくのを待つしかないんじゃない? いっそ社長とひとちゃんの夫婦っぷりを見せつけちゃえばいいのに」
「それは無理だよ……」


あの慧さんがオフィスで甘くなることは決してないもの。高海が信用できないくらいだからね。

結局、麻那の言う通り時間が解決するのを待つしかないのか……と結論を出し、残りのハーブティーで渇いた喉を潤した。


休憩したあと、私は産休の申請書を手にして総務部長のもとへ向かった。すでに産休を取る旨は話してあるが、きちんと書類も提出しなければならない。
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