約束 ~幼馴染みの甘い執愛~

 眠っている自分がどんな事を口走っているのかなんて知る筈もなく、当り前のように恥ずかしい過去を暴露した母親の言葉を、愛梨は慌てて遮るしかない。だが愛梨の制止など気にもせず、母2人はほう、と感嘆する。

「鳴かぬ蛍が身を焦がすって感じ? いやーん、ロマンチックねぇ」
「和花奈、昔からそういうの好きよね」
「愛子ちゃんだって好きでしょ~~」

 ちょっともう、ホントに止めて。ロマンチックだのドラマチックだの言ってるけど、それ自分の娘と息子だよ? いいの、それで!?

「だから雪哉君をうちに連れてきたときは『ついに来たかぁ』って思ったわよ~。雪哉君、ほんとに愛梨なんかでいいのかなー? って思ってたわ」

 そう思っていたのは、わかっていた。母の顔に『雪哉君かっこいい』と書いてたのは、愛梨もちゃんと認識していた。だが、もはや突っ込む気力すら起こらない。

「2人が帰ったあと、お父さん動転しちゃって大変だったんだから。マンションの自動ドアに挟まれるわ、急に水風呂に入りたいとか言い出すわ、教育テレビの子供番組見て泣き出すわで。自分から『嫁にもらってやってくれ』なんて言ったのにね」
「うるさいぞ、母さん」
「お父さん……」

 それは動揺しすぎ。

 2人の話を要約すると、雪哉の母・和花奈も愛梨の母・愛子も、雪哉が日本に戻ってきた直後の5年前から、既に2人が付き合っていると思っていたらしい。雪哉が愛梨の連絡先も知らずに日本に戻ったとは、両親4人とも思ってもいなかった。

 だから愛梨の母に「彼女いないの?」とカマをかけられた雪哉が「いない」と答えたのは、両親の前で照れる愛梨を庇うためだと解釈したらしく、その後の雪哉の顔を見ていて「全然隠しきれてないわよ~」と思っていたとのこと。確かに雪哉は最初から隠す気持ちすらなかっただろうけれど。遊びすぎちゃったかしらね、と母が朗らかに笑う。

 前回のクラス会の時に『いつ報告してくるのかしらねー』なんて2人の間でキャッキャと現状を確認し合ったらしいが、その頃の愛梨は雪哉と付き合うどころか、雪哉が日本に帰ってきていることすら知らなかった。


 そうして6人で状況を確認したのに、あきれた事に愛子(台風)和花奈(ハリケーン)から返って来た言葉は、

「結婚式楽しみねぇ」
「ねー!」

 だけだった。

 いや、もっと他に言う事あるでしょ!?


 ――― Fin *

< 222 / 222 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:80

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

総文字数/180,540

恋愛(オフィスラブ)304ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
*Story* 深田 紗夜が勤める会社では 長年社内恋愛が禁止されていた。 しかし新しく取締役に就任した かつての指導係である明里 和季が 社則を変えたことで、 社員同士の自由な恋愛や結婚が 認められることとなった。 実は社内恋愛が禁止されていた頃、 密かに和季と交際していた紗夜。 しかし彼には結婚を考えている相手がいると知り、 深入りする前に…と身を引いていたのだ。 別れてから2年が経過している。 今さらよりを戻すことはない。 ――そう思っていたのに。 「もう社内恋愛は禁止じゃない。  これで俺たちは、堂々と付き合えるだろ?」 優しかったはずの和季が甘くみだらに、 そしてなぜか意地悪に紗夜に迫ってきて……!? ―――――*――――― 株式会社ルミリュクス 常務取締役 御曹司 明里 和季 29歳 Akari Kazuki × 経理部経理課 社員 深田 紗夜 25歳 Fukada Saya ―――――*――――― *投稿&完結 : 2026.8.29.* ◇ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団体には一切関係ございません ◇ アルファポリス・エブリスタにも掲載しています
パーフェクト・ネイル ~憧れの上司に狙われている、かもしれません~

総文字数/9,999

恋愛(オフィスラブ)20ページ

超短編!フェチから始まる溺愛コンテストエントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
*Story* ふとしたきっかけで 密かに憧れている上司・遠坂 琉生に 特殊な性癖(?)があることを 知ってしまう初野 椛。 興味本位で掘り下げたてみたら、 実は遠坂の好みに 自分も当てはまっていたことがわかり…!? どうやら私、 憧れの上司に狙わている―― …かもしれません。 ―――――*――――― *開始 : 2026.5.18.* *完結 : 2026.5.19.* ◇ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団体には一切関係ございません ◇ 表紙はCanvaさんで作成いたしました ꒰ঌ.*・ みかよ さま・*.໒꒱ 素敵なレビューを ありがとうございました…♡ いつか続き書きたいです…°˖✧
幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-

総文字数/31,994

恋愛(純愛)47ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
会社勤めの池田咲は、高校時代、部活中に幼なじみの本庄光希が蹴ったボールが当たって目に怪我を負った。以来、責任を感じた光希から過保護に守られる日々を送っている。 傍にいてくれることが嬉しい。 ただの『幼なじみ』以上の関係になりたい。 ――でも自己犠牲はしてほしくない。 秘めた気持ちを伝えられず『幼なじみ』という微妙な距離感を保っていた二人だが、ある日同僚から『本庄くんに連絡先を渡してほしい』と頼まれ、さらに同期の男性社員から『池田と二人きりで過ごしたい』と誘われる。 恋心に揺れ動く咲の感情に気づいたとき、光希がとった行動は―― ◆ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団体には一切関係ございません ◆ 表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しています ◆ エブリスタにも投稿しています

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop