サッカーボールと先輩とアタシ


練習が終わるまで、マネージャーは戻ってこなかった。

「俺、電話してみる。」

電話は繋がるが、出ないとヒロは言う。

部室の中は『クッキー』の話で持ち切りだった。

「マネージャーって、誰かに渡すのかな??」

「俺、マネージャーからクッキー貰いたい!!」

「俺だって。」

一年はまだ後片付をしているので、部室は二年だけだ。

「ヒロ、またイヤってほど貰えるだろうな。」

ヒロはニヤリと笑う。

「クッキーって、何??」

ヒロに聞く。

「ほら、去年もあったろう、クッキーデー。一年の時、家庭科で女子が作ったヤツ配る日。」

あ~、謎が解けた。

「旬磨なんて、片っ端から断って、貰えない俺達の気持ち考えろよ!!」

んなの、知らねえよ。

確か去年は「甘い物苦手」って受け取らなかった。

「万桜、誰に渡すのかな??」

小声でヒロは俺に聞く。
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