サッカーボールと先輩とアタシ

決勝戦の後に―旬磨―



「おい…。」

万桜は走り出していた。

カバンも放り出し。

そして、抱き合っている。

実際に目の前の光景が、まるでドラマでも見ているかのような、不思議な空気が流れていた。

あいつが…潤??

どうしてここに??

ただただ理解出来ないまま、俺は小さな万桜の背中を見つめている。

優しく背中に回した手が、万桜を包み込んでいる。

何なんだ??

どうなって、いるんだ??

やっと体を離し、何か話している。

その万桜の横顔が幸せそうで………固く拳を握った。

そして俺達に顔を向け、二人でこっちに向って歩いて来た。

ヒロは万桜のカバンを拾う。

何も言わずに。

< 156 / 239 >

この作品をシェア

pagetop