サッカーボールと先輩とアタシ


あったかい手。

「…どうしたの、潤くん??」

少し驚いた。

そしてゆっくりと立ち上がる。

「俺さ、こっちの大学に決めたんだ。」

アタシ達は向かい合っていた。

手は繋がれたまま。

「それで…その…待っててくれないか、俺の事…。」

え、それってどういう…??

彼の目はまっすぐにアタシを見ていた。

「俺、万桜じゃなきゃやっぱダメみたいだ。」

繋がった手が、ギュッと強く握られる。

「な、に言ってるの??だってアタシ達…。」

アタシ達、もう終わったはずじゃ…。

「ごめん、俺が…俺が弱かったんだ。怖かったんだ、万桜がいなくなって。
万桜のいない生活に、俺が耐えられなかったんだ。」

一言一言、考えながら話しているのが分かった。

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