しかくかんけい!


「あのね、女の子がシャボン玉落として泣いちゃって、ほっとけなかったの」


困ったように眉を下げて、事情を話し始める。


これじゃまるで俺が困らせているみたいだ。


ああ、違う。

そんな顔をさせたいんじゃない。


もやもやと渦巻く感情が、より一層込み上がってくる。

もういいよ、と小さく言って、足を進める。


「あっ、そらくん……」


ハナの切ない声がして、

帰ろっか、と愛莉の落ち着いた声が続き、

背中で3人がついて来るのを感じた。



ふと、草履が地面を叩く音がしたと思ったら、Tシャツの裾を軽く引っ張られる。


「大丈夫?」


一歩前へ出てそっと俺の顔を覗き込むのは、


「愛莉……」


頭1つ分くらい下の位置にあるその目は、じっと俺を捉え、すぐに前に向き直る。



「さっきからずっと思ってたんだけど」


前を見て歩きながら、愛莉は言った。


「うん」


俺も前を向く。



「いつものそらじゃないみたい」


儚げな声で、そうつぶやいた。




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