しかくかんけい!



* * *



「ねえ愛莉〜、私のフルート知らない?」


数日経ったある日の放課後、キョロキョロしながら音楽室に来たハナは、第一声がそれだった。


「え?フルート?」

「確かに今朝、いつもの場所に置いたはずなんだけどなあ」


最近から朝練も始めて、ソロコンに向けて一段と頑張っているみたいだ。


「今日ホームルームぎりぎりだったから間違って持っていったんじゃない?」

「うーん……そう思ってね、カバンも見たし、教室に戻って探したんだけど、見つからなくて。どこいったんだろー」


自分のフルートを置いて、一緒に音楽室をうろうろ探す。

私は昔から物を見つけるのは得意な方だ。



「……あった」


窓側の本棚に並べられた教本たちの片隅。


「え!どこどこ?」

「ほらここに」


カーテンで陰になっているため、ぱっと見では目に入らない場所に置いてあったフルート。


これがハナのものだとわかったのは、見覚えのある黄色いチューリップのシールがケースに貼られていたから。


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