花鎖に甘咬み


「明日」


名前を呼ぼうとしたけれど、ぴしゃりと遮られる。

あからさまに拒絶するような態度に、黙りこむしかなかった。



「朝、伊織とここで合流する」

「伊織さん? でも、ここには誰も来ないって……」

「計画を、大幅に変更する。そのために俺が呼んだ」

「計画、変更?」

「……ああ。明日になればわかる」



真弓が頷く。
相変わらずその表情は見えない。


妙に意志のこもった声だった。

けれど、うらはらに、その声が寂しげに、ひどく心細げに聞こえたのはほんとうに気のせいだったのか、確かめることもできずに。




「今日はもう目閉じて、寝てろ」




そっと。
それでいて強引に、真弓の大きな手のひらが私の瞼を覆って、暗闇へと誘った。



< 256 / 339 >

この作品をシェア

pagetop