竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 あの弓矢で打たれた日に空を飛んでいたのをのぞけば──と、ミレイナは心の中で補足する。口には出さないが。

「ああ、そうか。悪かった」

 ジェラールは少し気まずそうに視線を逸らした。
 ミレイナはジェラールの足下に集まる四匹の魔獣達に目を向けた。
 四匹ともしきりに何かを言っているが、残念ながら、完全な人型になっているミレイナにはただの鳴き声にしか聞こえない。

「切り立った崖の上に巣を作って暮らすことが多い。小枝を集めた、鳥のような巣だ。これは草食のドラゴンだから、餌は果物や木の実でいいはずだ」

 ミレイナはぱっと顔を上げる。鳥のような巣ということは、とりあえずは獣舎内にある藁で代用できる。

「教えてくださり、ありがとうございます」

 笑顔でお礼を言ったミレイナは、大急ぎで藁をかき集め、即席の巣を作る。ジェラールはその巣に、そっとドラゴンを置いた。

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