竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 床を箒で掃いていたメイドの一人が声を上げる。そして、ドアを開けるとパタパタと走り去っていった。 残った二人は時折お喋りをしながら掃除をし続けており、一人は窓拭きを、もう一人は花瓶の水を取り替えていた。

 ミレイナは今さっき一人が立ち去っていった方向を見つめる。ドアの向こうには、長い廊下が続いているのが見える。艶々の石張りの床には赤い絨毯がまっすぐに敷かれている。

(もしかして、今なら逃げられるんじゃないかしら?)

 こんなチャンスは二度とないかもしれない。
 ミレイナは足音を立てないようにソファーの下からそっと抜け出すと、足早に廊下を駆け出したのだった。
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