竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
気配を感じる、というのは気配が移っているということだ。番いになった竜人同士が長時間触れあっていたりすると、互いの魔力が相手に移ることがある。

「気のせいだろう。もしくは、人間には少し触れただけで気配が移りやすいのかもしれない」

 ジェラールは事実、あの少女には殆ど触れていない。触れたのは、木から下ろすために手を貸したときだけだ。

 ラルフは納得いかなそうな表情を浮かべたが、それ以上は聞いてこなかった。

「では、取り急ぎ確認に行って参ります」

 ジェラールはその後ろ姿を見送ってから、広い執務室内を見渡す。
 いつも隠れているカーテンの裏にも、ソファーの下にも、やっぱりララはいなかった。
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