竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
「お安いご用よ。さあ、行こう!」

 リンダは屈託なく笑うと、落ち葉ごみが詰まった袋の取っ手のひとつを掴んだ。ミレイナも袋の反対側の取っ手を掴むと、二人は間にごみ袋を挟んだような形で歩き出す。


 王宮に沿うように庭園の小道を歩きながら、ミレイナはその大きな建造物を仰ぎ見た。

 ラングール国の王宮は、三階建ての大きなものだ。
 真っ白な石造りで、窓枠には飾りの彫刻が施されており、前世で旅行したときに見たヨーロッパのバロック様式の建物に似ている。
 三階建てだが、一階層ごとの天井が高いせいか、首を大きくのぞけらせて遥か見上げるほどに高さがあった。特徴的なのは、至る所に大きなテラスがあることだ。そして、そのテラスにはテーブルや椅子は置かれていない。

「どうしてどこのテラスにも、テーブルや椅子が置かれていないの?」
「え? だって、テーブルと椅子が置いてあると、竜になったときに出入りするのの邪魔でしょう?」

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