私の光になってくれて、ありがとう
光の目からも涙がこぼれる。何度も光は「ありがとう」と言い、尚の手を握り締めた。

『光の過去や肩書きなんてどうだっていい!光と一緒に生きたい!結婚しよう』

あの時のことを光はふと思い出す。そして幸せから涙をまたこぼして、尚と笑い合った。



光と尚が出会ったのは、街のCDショップだった。

「いらっしゃいませ」

入荷されたばかりのCDを並べながら、光はお店に入ってきた客に言う。そして幸せそうに誰かと歩く人々を見て胸がズキンと何度も痛んだ。

「お母さん!この人のCD買って!!ずっとほしかったの!!」

「しょうがないわね〜……」

中学生くらいの女の子がお母さんとCDを見ている。女の子とお母さんはレジに持ってきた。レジには光がいる。

「いらっしゃいませ。二点で三千円です」

光がレジを打ち終え、CDを袋に入れるとお母さんと女の子は楽しそうに話しながら帰っていく。その様子を見ていると、光の頭に過去のことが嫌でも思い出されるのだ。
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