乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版

【別れても好きな人】

時は、午後3時半頃のことであった。

ところ変わって、ゆめいろ市の中心部にある大型公園の広場にて…

私が転学した高校の男子生徒たち20人が公園の広場でタンガンショに署名願いますと呼びかけていた。

男子生徒たちは『学園がカイコウしてから100年以上つづいた退学者ゼロが途切れてしまう…このままでは学園のデントーに傷がつく…』と言うて『退学しかけているふたりの男子生徒が復学できるようにするために、タンガンショに署名願います…』と公園に来た人たちに呼びかけていた。

公園に来た人たちは、タンガンショに署名をしていた。

大きめのスピーカーから、舟木一夫さんの歌で『高校三年生』が繰り返して流れていた。

そこへ、40人のヤクザの男たちが押しかけてきた。

「コラ!!オドレらはふざけとんか!!」
「なんですかあなたたちは!?」
「オドレクソガキャ!!だれにことわってここでこななことしよんぞ!?」

20人の男子生徒たちは、40人のヤクザの男たちからいて回されて、ボロボロに傷ついた。

話しは、その翌日のことであった。

家出中の私は、福岡の入国管理局に行って出国申請を申し出た。

しかし、担当者の職員が勤務中に職場のテレビを勝手につけてメロドラマを見ていた。

私が出国申請のお願いをしようとしたら、担当者は『今、いいところなんだよぅ~』と女々しい声で言われた。

勤務中にズボンずりおろして、メロドラマで主演女優さんのラブシーンみながらえげつないことをしよる…

上の人間はオクギョだから、部下をトーソツする能力なんぞ全くない…

もうこらえへん…

日本にいたら、私はぺちゃんこにされる…

ジョウイだジョウイだ!!

夕方頃であった。

私は、那珂川にかかるであい橋を渡って、中洲川端のネオン街にやって来た。

通りのスピーカーから、シルビアとロスインディオスの歌で『別れても好きな人』が流れていた。

何時頃、どの辺りにいたのかおぼえてなかったけど、どこかで男の子のなさけない声と男の怒号が聞こえたようだ。

私は、通りにある映画館のわきの露地へ行ってみた。

問題の声は、私がいる場所から300メートル先の場所から聞こえていた。

私は、現場の20メートル手前までギリギリ接近した。

現場には、溝端屋のダンナとヤクザの男たち30人と私が転学した高校の男子生徒ひとりがいた。

男子生徒は、莉江子のカレで学校イチの英才くんの温品衛二(ぬくしなえいじ)であった。

なんで学校イチの英才の温品くんがここまで来たのだ…

なんで温品くんがヤクザにからまれているのか…

わけがわからんなった私は、危険をおかしてさらに5メートル手前まで接近したあと身を潜めた。

身を潜めた私は、聞き耳を立てて現場の様子を立ち聞きした。

温品くんは、前日ゆめいろ市の大型公園で退学しそうな男子生徒ふたりを助けるために署名活動をしたと主張した。

しかし、溝端屋のダンナは温品くんたちになわばり荒らされたので激怒していた。

複数のヤクザの男たちからボコボコにいて回された温品くんは、顔がボコボコに傷ついた。

温品くんは、ボロボロに傷ついた顔で溝端屋のダンナに許し乞いをした。

「すみませんでした…もうこらえてください…」
「ふざけとるわオドレは…それが人にあやまる態度なのか!?オンドレらのガッコーのセンコーは生徒にどなな教科を教えよんぞ!?」

温品くんは、鼻血を流しながら必死になって溝端屋のダンナに許し乞いをした。

しかし、溝端屋のダンナは温品くんに『なんでわしらのなわばりを荒らした!?』と怒鳴りつけた。

「オドレクソガキャ!!オドレはわしらのシマで署名活動をしよったけど、あれはわしらに対しての当てつけか!?」
「当てつけなんかじゃありません…ぼくたちは退学しそうな男子生徒ふたりをすくうために署名活動をしていたのです…退学者が出たら、ガッコーのデントーに傷がつくのです~」
「ガッコーのデントーが切れそうだったら、電気屋へ行ってデントーこーてこいや…」
「そのデントーじゃないのです!!」
「てめえらのガッコーのデントーなんかわしらはしらんねん…退学しそうな生徒ふたりをひきとめてどないしたいねん!?」
「どないしたいねんって…一緒に楽しい時間を過ごしたい…」
「オドレがいよる楽しい時間はなんじゃあいよんぞ!?」
「夏休み冬休み春休み土曜半休日曜定休…」
「オドレがいよる楽しい時間って、遊びばかりじゃないか!?」
「だってそうじゃないですか!?中学卒業して働きに出た子たちには夏休み冬休み春休み土曜半休日曜定休なんかないんです…」
「ほんなら、うちの問屋のデッチたちもそうだと言うのか!?」
「そうですよ…」

(ドカッ)

「ぐわっ!!」

温品くんは、ヤクザの男ひとりからケリを喰らった。

溝端屋のダンナは、ケリを喰らった温品くんをにらみつけながら言うた。

「コラクソガキャ!!もういっぺん言うてみろ!!よくもわしらの組に焚きつけたな!!」
「焚きつけてなんかいませんよ…」
「なんや!?」
「あんたらがぼくたちにいちゃもんつけたんだろ!!」
「なんや!!わしらにケンカ売る気か!?」
「ヤロー!!」

(ガーン!!)

温品くんは、鉄パイプでスキンヘッドの男の頭を激しく殴りつけた。

このあと、温品くんはヤクザの男たちをボコボコに殴りつけた。

溝端屋のダンナは、その場からゆっくり立ち去った。

このあと、溝端屋のダンナは田嶋の組長に電話をかけた。

その頃、私は国体道路(国道202号線)の春吉橋へやって来た。

温品くんがヤクザの男たちをボコボコに殴りつけていた現場を目の当たりにした私は、腰を抜かして座り込んだ。

温品くんはどえらいことをやらかした…

田嶋の子分たちをボコボコ殴りつけて大ケガを負わせた。

うち、ふたりが亡くなった…

温品くんは、ことの次第がわかっていない…

田嶋に焚きつけたと言うことは…

長州組(広域暴力団)に焚きつけたと言うことになるのだよ…

温品くんのまわりの人たちが暴力団による被害を受けるのだよ…

学校が被害を受けるのだよ…

私は…

もう…

助けることができない…

ゆめいろ市のコーコーがどないなろうとしらん…
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