乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版

【あの鐘を鳴らすのはあなた】

時は、1月1日の朝10時に10分前のことであった。

場所は、洋館の一番上の階にある私の執務室兼寝室にて…

早起きをした私は、ユニットバスでおめざめのシャワーを浴びる。

アイスランドの冬の日の出は朝10時過ぎ…

昼が短い分、夜が長い…

日本では朝10時過ぎは明るい時間だけど、ここ(アイスランド)ではまだ暗い時間帯であった。

ホンマに不思議やのぉ~

シャワーを浴び終えた私は、ユニットバスの洗面台でお顔の手入れをする。

(ジーッ…カリカリカリカリ…)

私は、電気カミソリ用のシェービング液をひげに塗って湿したあと、ブラウン(電気シェーバー)でひげをそる。

ところ変わって、執務室にて…

白のバスローブ姿の私は、歯みがきをしながら窓にうつっている風景をながめている。

遠くに見える断崖絶壁の岬にぽつんと立っている赤い灯台のあかりが夜明け前の海を照らしている。

私は、歯みがきをしながらいろんなことを考えていた。

時は、正午過ぎのことであった。

ところ変わって、2階にある大広間にて…

大広間に置かれているテーブルに、イワマツグループのメンバーたちが集まっている。

しかし、大番頭はんがまだ食卓に来ていない。

テーブルの上には、サーモンのソテー・グリーンサラダ・ラムのシチュー・コッペパンが置かれている。

ゆりさんは、大番頭はんがまだ食卓にいないのでイラついている。

そんな中で、大番頭はんがものすごくあわてた様子で食卓にやってきた。

「ああ、えろおすんまへんなぁ~」

起きる時間を間違えて寝坊しはった大番頭はんは、大あわての表情(ウソつけ…)であった。

ゆりさんは、ひどくイラついた声で大番頭はんを怒鳴りつけた。

「おとーちゃん!!」
「ゆり、朝からおとろしい(こわい)声で言わんといてーなぁ…」
「おとーちゃん!!今何時やとおもとんねん!!」
「何時って、昼の12時でおますねん…」
「おとーちゃん!!ここは大阪の自分の家とちゃいまんねん!!ゴッチャにせんといてや!!」
「分かってまんがなぁ…ああ、みなさまえろおすんまへんでした…」
「…ったくもー!!おとーちゃんはイワマツグループのメンバーたちをまとめる大事な役割があるのよ!!メンバーたちをまとめる人がネボーするなんてみっともないわよ!!」
「分かってまんがなぁ…」
「わかっとんやったらはよ座ってや!!」

大番頭はんが席についたあと、メンバーたち全員は朝食に入る。

時計のはりは正午になってはるけど、朝食とランチがゴッチャになってた。

この日は、明日から本格的に始まるプロジェクトのスケジュールについて協議するために一日中洋館に滞在した。

1月2日の朝9時頃、私たちは洋館を出発してグリムスエイ島の空港へ向かった。

空港に到着後、滑走路に待機しているヴォンヴァルディア機に乗って、専用機が待機しているレイキャヴィーク・ケフラヴィーク国際空港へ向かう。

1月3日以降は、スケジュールが立て込んでいるのでグリムスエイ島の洋館に帰ってくる日は現時点では未定である。

私は、移動中のヴォンヴァルディア機の窓にうつるラングヨークトル氷河をながめながらいろんなことを考えた。

イワマツを作る仕事のこと…

医大に入学したあとのこと…

そして、私の今後の人生設計のことなどを…
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