乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版

【哀愁でいと】

日本時間5月7日の午後7時過ぎのことであった。

ところ変わって、尾鷲市のたつろうさんの実家の大広間にて…

大広間に政子と優香と由芽と和子の4人がいた。

六郎とみつろうとたけろうは、外に行ったので大広間にいなかった。

テーブルの上に、優香と由芽が作った料理がならんでいる。

みつろう優香夫婦の2人の子供たちは、ここ最近友人宅に長居するようになったので、優香は激しい怒りを抱くようになった。

黒電話で電話をしている優香は、ものすごくこわい声で受話器ごしにいる子供たちに怒鳴りつけた。

「あんたらなん考えとんで!?おかーさんは晩ごはんまでには帰るのよと言うたのに、なんで(友人)くん方に長居するのよ!!…アカン!!今すぐに帰ってきなさい!!おかーさんの言うことを聞きなさい!!おかーさんの言うこと聞きなさいといよんのに言うことを聞きなさい!!」

この時、政子がつらそうな表情で優香のもとにやって来て『もういいわよ…』と言うて止めた。

ブチ切れた優香は『ほんなら明日からごはん作らんけん!!』とボロクソに言うてグチャグチャに怒鳴りつけたあと、ガチャーンと電話を切った。

優香は、頭をグシャグシャにかきむしりながら大広間に入った。

数日前、無職少年がバスジャック事件を起こして殺人罪などで逮捕された事件があった。

みつろう優香夫婦の2人の子供たちは、西鉄バスジャック事件発生の半月ほど前から友人宅に長居するようになったので、家で晩ごはんを食べなくなった。

優香は『うちの子供たちも、危ないかもしれない。』と口々に言うてた。

大広間に入った優香は、政子に怒鳴りつけた。

「義母さま!!義母さまが子供たちを甘やかしたけん家で晩ごはん食べんなったのよ!!なんとか言いなさいよ!!」
「(つらそうな声で)分かってるわよぅ~だけど(2人の子供たち)はおうちにいたくないといよんのよ。」
「義母さま!!」
「優香さん、もういいから晩ごはん食べましょう…和子がはよ食べたいといよんのよ。」

このあと、晩ごはんに入った。

みんなが食べるごはんとみそ汁をついでる由芽は、政子にさよこから電話があったことを伝えた。

「義母さま。」
「由芽さん。」
「5時頃にさよこさんから電話がありました。」
「さよこさんから電話があったって?」
「ええ…」
「さよこさんはどこにいたのよ!?」
「串木野(鹿児島県)にいました。」
「串木野…さよこさんはどうして串木野にいたのよ!?」
「分からへん…せやけど、ぐすんぐすんと泣きよったよ。」
「泣きよったって…」
「おにいの身代わりになるために鹿児島へ行くと言うてたわ。」
「おにいの身代わりって、どういうことよ!?」
「(怒った声で)やくざの上納金(カネ)盗んで逃げたけん、さよこさんがおにいの身代わりになると言うことよ!!」

政子は、ものすごくつらそうな声で由芽に言うた。

「まあ、困ったわねぇ~なんでそななおとろしいことするのかしら~」
「さよこさんは、やくざの上納金(カネ)にてぇつけたおにいを助けるために、捨て身の覚悟で鹿児島へ向かうのよ!!」
「それだったらなんでケーサツに行かんのかしら…ああ、心配だわ…」

由芽は、つらそうな声で政子に言うた。

「うちらかてさよこさんに戻ってほしいけど、さよこさんは一度決めたら後戻りでけん性格なのよ!!せやけん、もうアカンと思う。」

由芽の言葉を聞いた政子は、ひどくおたついた。

和子は、シラけた表情を浮かべながらごはんを食べている。

ところ変わって、徳島自動車道の吉野川サービスエリアハイウェイオアシスにて…

ハイウェイオアシスの駐車場に、徳島県警のパトカー10台とJAFのレッカー車2台が停まっている。

駐車場に長時間停車している6台の自動車をどうにかしてくれと言う通報があった。

レッカー車で車を撤去させている時、大きめのリムジンが到着した。

30人の警察官たちがリムジンになだれ込んだ。

警察官たちは大きめの木づちでリムジンのドアをぶち壊したあと、中に乗ってた男たちを次々と引っぱりだして押さえ付けた。

こともあろうに、引っぱりだされた男たちはてつろうが在籍していた大学の総長と幹部たち数人とてつろうの恩師の教授だった。

総長たちは、メーワク駐車に加えて暴対法にテイショクする容疑など30の罪で逮捕された。

今回の一件で、てつろうが大学の研究所へ行くなどの話しはすべてパーになった。
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