大好きだから、キミの前では笑っていたい。

──秋への想いが詰まったこの心を、ちゃんと忘れるために。



「……無理して、笑うなよ」

「え……?」

「全部気づいてるから。どんだけ一緒にいたと思ってんだよ」



袖口で汗を拭いながら、彼は大きなため息をひとつ吐いて、それから私を見下ろした。



真剣な瞳が、私の心を見透かしたように嘘を見破る。



「今日変だったの、俺が愛夏と付き合ったから?」

「……っ」



あまりに直球でわかりやすく動揺した私に、彼は「図星か」と少し切なげに眉を下げて笑って見せた。



「付き合っても、華音と友達やめたりしないから。今まで通り、とはいかないかもしれないけど極力前とは変わらないようにするから、心配すんなって」



伸ばされた手が、顔の前で動きを止め、元の位置に戻る。



その一連の動作が何を示すのか、悔しくも理解出来てしまって、また足元に視線を落とす。

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