大好きだから、キミの前では笑っていたい。

「あ、き……」



私が名を口にすると、そっとその手が離れていく。



「素直に気持ちを伝えてくれてありがとう。好きって言ってくれて……。華音の気持ちは、すごく嬉しい」



再び告げられた「ありがとう」の五文字に今度は感動して涙が溢れそうになる。



もっと早く伝えていれば、何かが変わったのかもしれない。



そうは思うけれど、今更過去には戻れないし、後悔を積むだけ無駄なことはこれ以上考えないほうがいい。



ちいさな後悔を胸中から追いやっていると、彼の表情が僅かに暗くなった。



「……でも、ごめん。俺は愛夏が好きだから。華音の気持ちには応えられない」

「……うん。ちゃんとわかってるよ」



返事は、知っていた。
それでも、直接聞くのはやっぱり辛い。胸がズキズキと痛む。

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