前世で生き別れた夫と、来世で再び会いました。
「ッ……!」

「“無能力”のくせに…!」

 嫌だ。

 怖い……。

 目尻に涙が溜まっていく。

 男子は一度手を離すと、その手を拳にして、振りかぶる。

 ───殴られる。

 衝撃に耐えようと、ぐっと目を瞑る。

「はーい、座れぇー」

 先生の声がした。

「あ…」

 助かっ、た…?

 殴ろうとしていた男子は小さく舌打ちし、自席へ戻っていった。



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