前世で生き別れた夫と、来世で再び会いました。
 何を思ったのか、彼は私の首元に顔を近づけた。

「何するの…?」

「さァな?」

 彼は私の首筋に、唇を当てた。

 チクッ、と痛みが走る。

「ッ…」

「よォし、できた」

「……キスマーク?」

 彼はふっ、と笑い、「ご名答」と言った。

 つまり…私は彼に、『マーキング』されたのだ。

 しばらく、痕は消えないだろう。

 また、玩具にされる。

 憎らしくなって、目の前のセンリをキッと睨んだ。

 その時。

 バンッ!と大きな音がして、扉が開いた。
< 30 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop