気がついたら好きだった
その日の夜、紗奈からメールが来た。
明日のデートの待ち合わせ場所のメールだった。紗奈に返信をしていると、健兄が帰って来た。

なるべく会わないようにずっと部屋に閉じこもっていたが、部屋をノックされ返事もしてないのに入って来て、

「家出てくって正気?」
と、聞いて来た。

「うん」

「なんで?」

「高校卒業したらさ、もう私の保護者しなくて良いと思うんだよねー」

「保護者って、そんな風に見てるなら、20歳まで一緒に住んだら良いだろ?」

「でもさ、彼女に悪いでしょ?」

「え?」

「健兄に彼女いる事くらい知ってるよ?私と一緒に住んでたら同棲だって出来ないし、彼女に嫌われちゃうよ?」

「は?なに言ってんの?いないよ、彼女なんて」

「いやいや、いるでしょ?だって写真見たし」

「え?写真?」

私は、健兄から借りた本と写真を本棚から取り出して見せた。

「この借りた本の中に入ってたし」

「あー、その写真懐かしい、その子とはさ、1年前に別れてるし...」

「へー、じゃあ逆に彼女出来なくなっちゃうでしょ?妹と住んでたらさ」

「いや、俺別に作る気ないし...」

「あっそ...」

「あっそって、保護者するつもりも、してるつもりもあんまないけど、もう少しここにいて凛の手助けさせてよ?」

「......考えとく」

「フッ」
と、健兄が、鼻で笑い部屋から出て行った。
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