夏のせいだよ
番外編

帰り道






「んふふっ!ふっふふ〜〜ん!」




「うるせぇ」




初めて、俺がこいつに、好き、と言ったことで、
面白いくらい上機嫌になったこいつ。




「おい、」


「ん?なぁに?」


丸い、くるんとした目で俺を見つめる。



たったそれだけで、トクン、と胸がなるくらいには、お前のこと好きだよ。


もう二度と言わねーけど。





「伊吹」


「…え?」


「伊吹に、昨日会ったのかよ」



一瞬きょとんとして、それからふわっと笑う。




「嘘だよ」


「っ、は?」



「ヤキモチくらい焼いてくれるかなーって
これで焼いてくれなかったら、別れようとすら思ってたよ」



ふふ、と綺麗に笑うお前に、段々腹が立つ。





その白い腕を掴んで、こちらに引き寄せる。


驚いて、目を丸くさせたお前に
少し笑って、




「俺のこと、あんま舐めんなよ」




少女漫画に出てきそうな、歯の浮くようなセリフを言いながら、


その華奢な背中に腕を回す。



トクン、トクンと、お互いの心臓の音が、やけに大きくて、

でも、心地いい。





それでも空気を読まずに、ミンミンとなく蝉。





これだから、夏は嫌いなんだ。
< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

Sugar

総文字数/4,643

恋愛(純愛)11ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
クラスで人気者の彼と、地味な私 なんにも接点なんかないと思ってた__ 「なんの音楽聴いてんの?」 「なぁ、こっち向けよ」 「なんで他の男といるわけ?」 ちょっ、こんなの心臓もちません!!! クラスで人気者、イケメン男子 一ノ瀬 湫(いちのせ しゅう) × 地味で目立たないメガネ女子 碓氷 沙奈(うすい さな)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop