ONLY YOU~過ちの授かり婚~
私と徹さんが別れた夜。
見知らぬ男性が私の薬指からエンゲージリングを引き抜き、グラスの中に落とした。
そこまでは記憶あるんだけど。

強いカクテルを吞んでからの記憶は飛んでいた。

きっと、相手の男性が私が持っていても無意味だと思ってエンゲージリングを奪ったのかと思っていた。

そう言えば、きっと心臓の悪い父は発作を起こすかもしれない。
「わしのせいで・・・」

父はデスクに両肘をつき、その中に額を埋め項垂れた。

「お父様のせいではありませんよ」

「乃彩お前は本当に優しい娘だ。少し位わしを責めてもいいんだぞ」

「私が悪いの。好きな人が出来たと言うか・・・」

父のキモチを少しでも和らげようの言葉を紡いだ。

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