その先輩、取り扱い危険!
うちに来ない?
カツアゲ事件から1週間が経った。

二宮さんは相変わらず私の席に陣取り、私のスカート丈は1cmも短くならず、古典の小テストの結果が悪いと先生に叱られ、日々は過ぎて行った。

1度だけ、寝坊してお弁当を作れなかった時に、購買部へ行ったらあの小柄で綺麗な男の子、『暖人くん』に会った。

会ったというか、見かけただけなんだけど。

ちょっと離れた所で見ていたら、少しだけ目が合って、すぐに逸らされた。あの事件の時には見えなかったけど、着ているジャージに瀬見とある。

『瀬見暖人くん』っていうのか。

呼ぶ機会はないだろう名前を心の中で呟く。

あれから大丈夫だったかな。もう、あの不良の先輩達に絡まれてなければいいな。

購買部にいた時の暖人くんは1人だったから、ちょっと心配になってしまう。

いや、私も1人なんだけど。人の心配している場合じゃないんだけど。

そんな私はといえば、今日もお弁当を抱えて階段をあがっていた。
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